面会交流(面接交渉)
直接面会が原則
第三者機関の利用や間接的面会交流も
離婚後の面会交流について、民法766条は、「父又は母と子との面会及びその他の交流」という言い方で、子の利益を最も優先して定めるものと規定しています。
非監護親が子どもと直接面会をするのが原則であり、親同士が連絡をとりあうことが困難な場合などには第三者機関を利用して直接面会をする方法があります。
ただし、直接面会はしない間接的面会交流(手紙・電話・メール・ウェブ画像つきの通話など)の定めをすることもあります。
第三者機関を利用した面会交流
面会交流を行ううえで監護親と非監護親が連絡をとったり子どもを引き渡したりする必要があるけれど、両者の確執が深く、それらが困難と認められるなどの事情があるときに、面会交流を有料で支援する第三者機関を利用する方法があります。
実際の離婚調停で、当事者・代理人弁護士・裁判所のいずれもが、第三者機関の利用を考えることはよくあります。
この場合、当事者双方がその第三者機関と、面会交流の形態などに関する協議・取り決めをすることになります。
間接的面会交流(間接交流)
非監護親が子どもと直接会うのでなく、手紙・電話・メール・ウェブ画像つきの通話などによって交流することを、間接的面会交流といいます(写真を使ったりプレゼントを贈ったりすることもあります)。
これとの対比で、直接会う面会交流を直接的面会交流といいます。
「間接交流」「直接交流」など短い言葉でいうこともあります。
民法766条の条文でいうと、「面会」が直接的面会交流、「その他の交流」が間接的面会交流です。
面会交流を認めるだけの取り決めも
面会交流については、監護親が特に制限しようとしない場合や、子どもの意思に任せようとする場合などに、単に非監護親に子どもとの面会交流を「認める」とだけ取り決めることもあります。
婚姻中・別居状態での面会交流
面会交流は、民法766条では離婚後のこととして規定されていますが、夫婦が離婚はせず婚姻関係が破綻して別居している状態のときも、同居していない親と子との面会交流はあります(最高裁平成12年5月1日決定)。
最高裁平成12年5月1日決定(抜粋)
「婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合であっても、子と同居していない親が子と面接交渉することは、子の監護の一内容であるということができる。そして、別居状態にある父母の間で右面接交渉につき協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法766条を類推適用し、・・・右面接交渉について相当な処分を命ずることができると解するのが相当である。」
面会交流権の「権利」とは
面会交流については、非監護親に「面会交流権」という権利があるのか、あるとすればどのような内容(法的性質)の権利なのか、という議論があります。
学説はいろいろありますが、多くは面会交流権という権利があることは肯定しています。
ただし、非監護親にとっては、その権利の内容(法的性質)として、面会交流をさせるよう監護親に対して求める権利なのかが問題です。
この点、上でご紹介した最高裁平成12年5月1日決定に関する最高裁判所調査官の判例解説において、見解が述べられています。
それによると、面会交流権といわれているものは、面会交流を求める請求権というよりも、子の監護のために適正な措置を求める権利であるとされています。
すなわち、面会交流権とは、面会交流をさせるよう求める権利ではなく、面会交流の可否や、可能な場合は内容(頻度・方法等)を定める手続を求める権利ということです。
民法766条
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
- 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
- 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
- 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前2項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
- 前3項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)