離婚調停と婚姻費用調停
婚姻費用調停の併合
離婚調停と婚姻費用分担調停は、同じ夫婦間において同じ裁判所に申立てがあると、併合されて同じ期日に同じ調停委員によって進行することになります。
その場合の離婚調停と婚姻費用分担調停について、解説します。
婚姻費用分担が先行
婚姻費用分担調停は、婚姻中の生活費分担について協議するものであり、離婚調停とは協議の対象が異なります。
このため、2つの調停が併合されても、本来は別々の手続です。
そこで、どちらかを先に進めることになるのですが、婚姻費用分担が先行というのが、裁判所の通常の運用です。
当事者双方が合意さえできれば、婚姻費用分担調停だけ先に成立します。
婚姻費用分担と離婚の並行協議
上記のとおり婚姻費用分担が先というのが裁判所の通常の運用ですが、実際は、婚姻費用分担と離婚後の問題を並行して協議するということはよくあります。
例えば、婚姻費用分担について双方収入の確定や分担額の協議がなかなか進まず、財産分与などとの兼ね合いが思い浮かんだりもして、離婚後の問題に関する協議も並行して進行していくという場合です。
また、未成年の子がいて私学に通っていると、私学費用の分担が婚姻費用と離婚後の養育費に共通する問題となって、並行して協議する必要が生じるということも起こりえます。
婚姻費用分担と離婚の同時成立も
婚姻費用分担と離婚の並行協議となっても、やはり婚姻費用分担を先に成立させることを調停委員会が求めてくることは多くあります。
そこでの当事者の対応は状況によりますが、調停委員会と協議をして、婚姻費用分担と離婚を同時に成立させることもあります。
離婚調停が不成立の場合
離婚と婚姻費用分担とも当事者間で合意ができない場合、通常、離婚調停は不成立で終了し、婚姻費用分担調停は審判に移行します。
また、婚姻費用分担だけ合意して調停成立となり、しかし離婚調停は不成立で終了ということも起こりえます。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)