離婚調停の成立・不成立
調停成立の効力と不成立の場面
離婚調停において合意ができて調停が成立した場合の効力と、合意できず調停が不成立になる場面について、それぞれご説明します。
※「申立人」「相手方」の表記は、弁護士がついている場合は弁護士を含み、記載内容は、弁護士がついている場合の一般的な展開を含むことがあります。
調停成立は確定判決と同じ効力
協議離婚では離婚届を役所に提出しなければ離婚は成立しませんが、これに対し、離婚調停において合意ができて調停が成立すると、そのときに離婚が成立します。
その調停成立について裁判所が作成する「調書」という文書(いわゆる調停調書)には、双方が合意した内容が記載され、この調書記載は確定判決と同一の効力をもちます(家事事件手続法268条1項)。
強制執行の根拠となる
確定判決と同一の効力ということは、一方が約束を守らない場合に、他方が強制執行できるということです(民事執行法22条1号)。
このように、離婚調停は話し合いですが、その調停成立は、強制執行をする根拠となります。
調停が不成立となる場面
離婚調停が不成立となる場面としては、相手方があくまで離婚を拒否する場合や、離婚に伴う法的問題の合意ができない場合などがあります。
相手方が離婚を拒否する場合
離婚調停では、相手方が離婚を拒否する場合、多くは、申立人が離婚を求める理由を書面にして提出することになり、その書面を先行して提出しておくこともあります。
そのうえで、いったんは協議をして、それでもあくまで相手方が拒否する場合、離婚の合意ができず調停は不成立となります。
法的問題の合意ができない場合
相手方が離婚そのものは拒否しなくても、未成年の子の親権者指定について合意できない場合、調停は不成立となるのが通常です。
この親権者指定との関係では、「親権者指定の手続」ページの「親権争いがおさまらない場合」の箇所で補足説明をしています。
また、財産分与などの法的問題について合意ができない場合も、通常は調停不成立となります(ただし、次に述べる手続の分離はありえます)。
手続の分離は可能
以上のほか、離婚そのものや、離婚と同時に解決できる法的問題については調停成立とし、同時に解決できそうもない法的問題を分離してその手続から除外することは可能です。
これを「手続の分離」といい、法律上は裁判所の調停委員会の裁量でできることとされています(家事事件手続法260条1項4号・35条1項)。
分離されたら改めて調停申立て
ただし、これまでの当事務所の案件では、一部の法的問題について手続の分離をするかどうか調停委員会から尋ねられ、当事者双方とも了解した場合に分離が行われています。
その場合、分離された法的問題については、当事者のいずれかが改めて調停を申し立てることになります。
審判は例外的
なお、主要な点は合意しており離婚させた方が双方のためになる場合などに、家庭裁判所が職権で審判を下す制度がありますが、実際にその例は多くなく例外的な方法です。
離婚調停の相談事例
離婚調停に関する相談事例を、ごく一部ですがご紹介します。お問い合わせの参考になさっていただければと思います(ご回答は皆様の実情により異なります)。
- 調停はどうやって進められるのでしょうか。
- 調停はかなり時間がかかってしまいませんでしょうか。
- 調停にせずに離婚することはできますでしょうか。
- 調停では相手と顔を合わせないようにできるのでしょうか。
- 調停は弁護士に依頼したほうがいいでしょうか。
- 調停は弁護士さんだけが裁判所へ行って進めてもらえるのでしょうか。
- 調停委員から言われたことの意味が分かりません。どうすればいいでしょうか。
- 調停を起こされたのですが、1回目の期日は仕事で裁判所へ行けません。どうすればいいでしょうか。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)