養育費はいつまで払うのか
養育費の終期
養育費は、いつから払い、いつまで払うのか。
このうち、いつまで払うのか、すなわち養育費の終期については、子どもが何歳になるまで支払うかという方法で定めるのが通常です。
その定め方として、まず離婚調停で多く見受けられる父母双方の主張をご説明し、その次に裁判所の判断構造や、成人年齢引き下げとの関係をご案内します。
父母双方の主張と決着点
養育費の終期について、離婚調停で父母それぞれから出される主張として多く見受けられるのは、以下の3パターンです。
- 20歳まで
- 22歳の3月まで(大学卒業予定時)
- 18歳の3月まで(高校卒業予定時)
これらのうち、原則論として養育費の終期は20歳までであり、それに従う場合は20歳になる日の属する月の分までとするのが通常です。
大学進学を想定した養育費の終期
ただし、養育費において子が大学に進学することを想定する例も少なくありません。
その場合、20歳で大学に在学していたときは22歳の3月までとすることや、20歳で大学に在学していたときは別途協議とすることがあります。
それら在学条件なしに22歳の3月までとする例もあり、22歳までとすることもあります。
さらに、実情に応じて異なる養育費の取り決めをすることもあります。
裁判所の判断構造
養育費の終期に関する裁判所の判断構造として、司法研修所編「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」に、以下のとおり掲載されています(成人年齢を18歳に引き下げる民法改正も考慮されています)。
養育費の終期の判断要素
「養育費の支払義務の終期は、それぞれの事案における、諸般の事情、例えば、子の年齢、進路に対する意向及び能力、予測される子の監護の状況、両親が子に受けさせたい教育の内容、両親の経済状況、両親の学歴等の個別事情等に基づく、将来のどの時点を当該子が自立すべき時期とするかの認定、判断によって決すべきこととなる。」
大学進学の可能性による養育費の終期
「子が大学に進学することを希望しており、かつ、その能力もあると認められるなど、子の大学進学の可能性が高いと認められる場合であって、両親の学歴、経済状況及び子に対する従前の対応等により、非監護親に大学卒業までの生活費を負担すべき事情があると認定、判断されたときは、子が一般的に大学を卒業する時と推認できる満22歳となった以降の最初の3月までを、養育費の支払義務の終期と判断すべきこととなる。」
20歳が養育費の終期とされる場合
「今後社会情勢等が変化しない限り、子が幼い事案など、子が経済的自立を図るべき時期を異なる時点と特定して認定、判断すべき事情が認められない事案においては、未成熟子である期間について、(中略)従前のとおり、満20歳に達する日(又はその日の属する月)までとされることになると考える。」
成人年齢の引き下げと養育費の終期の関係
成人年齢が民法改正により18歳に引き下げられました(令和4年4月1日から)。
このことと養育費の終期との関係について、裁判所の考え方として、司法研修所編「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」(司法研究概要)に以下のとおり掲載されています。
- 当事者間の協議、家事調停、和解、家事審判及び離婚裁判において、既に合意や裁判により満20歳に達する日までなどと定められた養育費の支払義務の終期を18歳に変更すべき事由にはならない。
- 養育費の支払義務の終期は未成熟子を脱する時期であって、個別の事案に応じて認定判断される。未成熟子を脱する時期が特定して認定されない事案については、未成熟子を脱するのは20歳となる時点とされ、その時点が養育費の支払義務の終期と判断されることになると考える。
養育費はいつから払うのか
養育費はいつから払うのか、すなわち養育費の始期については、以下のページに掲載しています。
養育費はいつから払うのか
養育費の請求を伴うご依頼について
離婚のご依頼について、当事務所では、離婚後の養育費を受け取る側の場合、裁判所の算定表・算定方式の範囲内なら養育費の獲得を弁護士報酬の対象とせずに承っております。
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このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)