養育費

養育費

離婚後に養育費を分担

養育費とは、経済的・社会的に自立していない子ども(未成熟子)の生活費です。衣食住のための費用や、教育費、医療費などが一般に含まれます。
夫婦は離婚しても、子どもがいればその父母であることに変わりありません。離婚後の父母の間では非親権者が親権者に養育費を支払うことになりますが、それは、離婚後、父母が養育費を分担し、非親権者は自分の分担額を支払うものです。
(なお、親権と監護権の分離をしないことを前提とします)



養育費はいつからいつまで支払うか

養育費については、いつから支払いを始めるかという始期の問題と、いつまで支払いを続けるのかという終期の問題があります。 

いつから養育費を支払うか(始期)

養育費をいつから支払うかについては、離婚調停・離婚裁判において離婚とともに定める場合と、離婚後に養育費の調停・審判において定める場合とで状況が異なります。

離婚調停・離婚裁判の場合

離婚調停・離婚裁判において離婚が成立した場合には、養育費は離婚成立の時点から支払うことになります。すなわち、離婚調停の成立や離婚裁判における和解成立の場合はそれらの成立時から、離婚裁判における判決による離婚の場合は判決の確定時からということになります。

離婚後の養育費調停・審判の場合

離婚時に養育費の定めがなく、その後に養育費の調停または審判を申し立てた場合、実務の多くは、養育費の支払は調停または審判の申立日の属する月からとされます。ただし、調停または審判の申立日よりも前に養育費の請求があったことが客観的に明確であれば(内容証明郵便など)、請求のあった月から認められることもあります。

いつまで養育費を支払うか(終期)

養育費をいつまで支払うかについては、子どもが何歳になるまで支払うかという方法で定めるのが通常です。父母それぞれから出される主張として多く見受けられるのは、以下の3パターンです。

  • 20歳まで
  • 22歳の3月まで(大学卒業予定時)
  • 18歳の3月まで(高校卒業予定時)

これらのうち原則論としては20歳までであり、多くは20歳になる日の属する月の分までとされます。
ただし、22歳の3月までとして決着する例も少なくありません(20歳で大学に在学していたとき等の条件つきのことや、20歳で大学に在学していたときは別途協議とすること等もあります)。
なお、22歳の3月まででなく、22歳までとされることもあります。
さらに、実情に応じて異なる取り決めをすることもあります。



養育費の金額の決め方

養育費の金額は、当事者双方が合意できればその金額となります。それとともに、以下のとおり簡易・迅速な算定表や、養育費を計算する標準的な算定方式があり、裁判所による調整が入ることもあります。

養育費には裁判所による調整も

養育費については以上のとおり算定表や算定方式による計算がありますが、実際には、裁判所の裁量による調整がされることがあります。たとえば、収入について額面よりも多く得られるはずだという潜在的稼働能力で評価されたり、養育費の額について、算定表の幅のある金額の中からの選択や、算定方式による計算の過程において調整されたりなどです。

養育費は生活保持義務に基づく

離婚後も親が子の生活費を分担するのは、親の子に対する扶養義務(民法877条)に基づきます。
親族間の扶養義務には「生活扶助義務」と「生活保持義務」の2種類があります。
このうち、一般に親族間で負うのは生活扶助義務であり、それは、自分の地位と生活を犠牲にすることがない程度の余力がある限りにおいて、生活に困窮する親族を扶養する義務とされています。
これに対し、親は未成熟子に対して生活保持義務を負い、それは、子の生活を自分の生活と同程度に維持する義務であるとされています。
このことは父母が離婚しても変わらず、未成熟子に対する養育費は生活保持義務に基づく、自分と同程度に子の生活を維持させるための費用となります。



養育費条項の定め方

離婚協議や調停における養育費条項の定め方としては、一般的には、義務者が、権利者に対し、子どもの養育費として、1か月いくらを、いつからいつまで、毎月何日限り、権利者の口座(または子ども名義の口座)に振り込んで支払うといった内容になります。振込手数料は義務者の負担とするのが通常です。
(権利者、義務者、子どもについては、その条項における呼称になります)

入学や病気などの出費について

上記の養育費条項には、通常、その子の入学、進学、病気、事故等により特別の出費が生じた場合は、その負担について父母双方で別途協議するという文言が加わります。
また、合意さえできれば、それら特別出費について負担割合を決めたり、進学時の負担額を決めたりすることも可能です。